
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
ミヨンはそこで苦しげに喘いだ。
「お前のお父さんは漢(ハ)陽(ニヤン)でも名の知れた名家の御曹司だったのに、私と結婚するために、家門も恵まれた生活も何もかもを棄てたんだ。私が死んだら、お前には頼る身寄りもない。けれど、お前のお祖父(じい)さまは、まだお元気でいらっしゃる。そのお祖父さまを頼っていきなさい。この首飾りと書き付けを見せれば、きっと悪いようにはなさらないだろう」
首飾りと共に母が戦慄(わなな)く手で差し出した紙切れは、既に永の歳月を経たものらしく、色褪せ黄ばんでいた。
「読んで―ごらん」
キョンシルはある程度、字の読み書きができる。幼い頃、昔は朝廷の官僚だったという人が近くにいて、近隣の貧しい子どもたちを集めて読み書きを教えていた。そこにしばらく通っていたのだ。
「お前のお父さんは漢(ハ)陽(ニヤン)でも名の知れた名家の御曹司だったのに、私と結婚するために、家門も恵まれた生活も何もかもを棄てたんだ。私が死んだら、お前には頼る身寄りもない。けれど、お前のお祖父(じい)さまは、まだお元気でいらっしゃる。そのお祖父さまを頼っていきなさい。この首飾りと書き付けを見せれば、きっと悪いようにはなさらないだろう」
首飾りと共に母が戦慄(わなな)く手で差し出した紙切れは、既に永の歳月を経たものらしく、色褪せ黄ばんでいた。
「読んで―ごらん」
キョンシルはある程度、字の読み書きができる。幼い頃、昔は朝廷の官僚だったという人が近くにいて、近隣の貧しい子どもたちを集めて読み書きを教えていた。そこにしばらく通っていたのだ。
