
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
キョンシルは母の指示どおり、色褪せた紙片を開いた。
〝崔(チェ)卿実 父崔チソン・母宋(ソン)美瑛の娘であることをここに記す 崔チソン〟
更に末尾にキョンシルの生年月日が記され、チソンの印が捺されていた。
「崔氏には、この首飾りと対になった指輪とノリゲがあるはずだよ。崔氏では、当主の奥方が代々、それらの品を受け継いでいくそうだ。この首飾りだけをお父さんが持ち出して、祝言のときに私にくれたのさ」
「お母さん、何で今になってこれを私に?」
ミヨンは苦しげながらも、うっすらと笑みを浮かべた。
「私がずっとこの先も元気でいたら、お前に真実を告げる気はなかった。でも、こうなったのも、やっぱり仏さまのお導きじゃないかと思ってね。
〝崔(チェ)卿実 父崔チソン・母宋(ソン)美瑛の娘であることをここに記す 崔チソン〟
更に末尾にキョンシルの生年月日が記され、チソンの印が捺されていた。
「崔氏には、この首飾りと対になった指輪とノリゲがあるはずだよ。崔氏では、当主の奥方が代々、それらの品を受け継いでいくそうだ。この首飾りだけをお父さんが持ち出して、祝言のときに私にくれたのさ」
「お母さん、何で今になってこれを私に?」
ミヨンは苦しげながらも、うっすらと笑みを浮かべた。
「私がずっとこの先も元気でいたら、お前に真実を告げる気はなかった。でも、こうなったのも、やっぱり仏さまのお導きじゃないかと思ってね。
