テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第2章 哀しみはある日、突然に

お前は名門崔氏の血を引く、たった一人の娘だもの。きっとチソンも、お前のお父さんも、お前に本来お前がいるべき場所に帰って欲しいと願っているんではないかと思ったんだ」
「―嫌よ」
「キョンシル?」
 キョンシルは烈しく首を振った。
「私、お祖父さまのところなんか行かない。名門だか何だか知らないけど、結局、お祖父さんは、お母さんとお父さんの結婚を認めなかった。だから、お父さんは何もかも棄てて、家を出なければならなかったんでしょう。そんなのって、酷い。私の両親の結婚を認めてくれなかった人が私を孫だって認めるはずがないじゃない!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ