
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実
「―キョンシル」
漸くキョンシルだと認識できたらしい。とりあえずはホッと胸撫でおろす。このままトスが悪夢の世界に囚われたままではという怖ろしい心配はしなくて済みそうである。
「勝手に起こして、ごめんなさい。でも、あまりにうなされていたものだから、私の判断で起こしたのよ」
「そう―か。いや、構わない」
トスはどこか虚ろな声と表情で言うと、よろよろと立ちあがった。
「ちょっと外の風に当たってくるよ」
「でも、何だか具合が悪そうよ。せめて、もう少し落ち着いてからにしたら?」
「いや、すぐに戻るから。心配せずに先に寝ていてくれ」
漸くキョンシルだと認識できたらしい。とりあえずはホッと胸撫でおろす。このままトスが悪夢の世界に囚われたままではという怖ろしい心配はしなくて済みそうである。
「勝手に起こして、ごめんなさい。でも、あまりにうなされていたものだから、私の判断で起こしたのよ」
「そう―か。いや、構わない」
トスはどこか虚ろな声と表情で言うと、よろよろと立ちあがった。
「ちょっと外の風に当たってくるよ」
「でも、何だか具合が悪そうよ。せめて、もう少し落ち着いてからにしたら?」
「いや、すぐに戻るから。心配せずに先に寝ていてくれ」
