側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実
こんな夜更けに一体、どこに行こうというのだろう。まだ、現実には何も起こってはいないのに、しきりに胸騒ぎがする。それは、喩えるなら嵐の前のほんの束の間の静けさにも似ていた。
緊張に満ちた追跡はほどなく終わった。トスが赴いた先は、寺の真裏だった。そこは小高い丘状になっており、頂上から海がはるかに臨める。よく晴れた日ならば、水平線の向こうまで見渡せる眺めの良い場所だ。
愕いたことに、丘の上には丸く土を盛った箇所があった。こんもりと小さく土を盛ったそれは、明らかに誰かの墳墓であることが判る。
―こんな人気のない淋しい場所にお墓があるなんて。
緊張に満ちた追跡はほどなく終わった。トスが赴いた先は、寺の真裏だった。そこは小高い丘状になっており、頂上から海がはるかに臨める。よく晴れた日ならば、水平線の向こうまで見渡せる眺めの良い場所だ。
愕いたことに、丘の上には丸く土を盛った箇所があった。こんもりと小さく土を盛ったそれは、明らかに誰かの墳墓であることが判る。
―こんな人気のない淋しい場所にお墓があるなんて。