側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実
気がかりは、やはり昨夜の夢のことだ。以前もトスがあんな風に悪夢を見てうなされていたことがあったろうかと振り返ってみる。しかし、少なくともキョンシルの記憶にある限り、そんなことは一度たりともなかった。
あれほど烈しくうなされるのだ、もし、あれば、キョンシルがすぐに気づいて目覚めるはずだ。つまり、トスは故郷に戻ってきてから、初めてあの夢を見たことになる。
そこで、キョンシルは、はたと気づいた。トスの悪夢と昨夜、本堂脇でひそかに逢っていた女人は関係があるのではないだろうか。あの女人の美しさは、世俗とは隔絶された場所に咲く蓮花のような風情があった。
あれほど烈しくうなされるのだ、もし、あれば、キョンシルがすぐに気づいて目覚めるはずだ。つまり、トスは故郷に戻ってきてから、初めてあの夢を見たことになる。
そこで、キョンシルは、はたと気づいた。トスの悪夢と昨夜、本堂脇でひそかに逢っていた女人は関係があるのではないだろうか。あの女人の美しさは、世俗とは隔絶された場所に咲く蓮花のような風情があった。