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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか

 この町を離れる前に、ウォンジュンには直接逢って、話をする必要があった。
 イ・ソンジュンの構える屋敷は町の中心部にあった。その界隈は地方両班や富裕な商人たちの屋敷が集まっており、その中でも李家の屋敷はひときわ眼を引く立派なものである。
 趣向を凝らし四季の花を植えた広い庭園、更には瀟洒な造りの屋敷は周辺の両班の屋敷よりはよほど豪勢であった。その屋敷をひとめ見ただけで、李家が今、繁栄の真っただ中にあるのは一目瞭然だ。
 トスがどうせ厄介払いをするなら、キョンシルを李家に嫁がせようという気になったのも理解はできる。

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