側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
邪魔者になったとしても、一度は義理の親子としての縁を結んだ間柄である。その義理の娘だったキョンシルが叶うなら幸せになれるようにと考えてやったのが、トスにしてみれば、せめてもの優しさだったのだろう。
隣の両班の屋敷よりも立派な門をくぐり、広い庭を歩いてゆくと、向こうから若い下男がやってくるのが見えた。運の良いことに、一度見た顔である。ウォンジュンに付き従っていた若い家僕だ。
キョンシルはぺこりと頭を下げた。
「こんにちは。突然、お邪魔して済みません」
もう三十にはなっているだろうが、相変わらずの童顔である。家僕―ユチョンは丸い顔に人懐っこそうな笑みを浮かべた。
隣の両班の屋敷よりも立派な門をくぐり、広い庭を歩いてゆくと、向こうから若い下男がやってくるのが見えた。運の良いことに、一度見た顔である。ウォンジュンに付き従っていた若い家僕だ。
キョンシルはぺこりと頭を下げた。
「こんにちは。突然、お邪魔して済みません」
もう三十にはなっているだろうが、相変わらずの童顔である。家僕―ユチョンは丸い顔に人懐っこそうな笑みを浮かべた。