テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか

 ウォンジュンの顔から笑みが消えた。
「朝早くからごめんなさい。ご迷惑だったのではないですか?」
 商家の朝は早いと相場が決まっている。通常なら、とっくに動き出している時間ではあった。
「いや、実のところ、僕には決められた仕事があるわけではないんだ。たまに店の方に顔を出せば、父はそれだけで何も言わない」
 キョンシルが黙っていると、ウォンジュンは肩をすくめた。
「良い歳をして、ろくに働きもしないで、ぶらぶらしてるんだよ。―呆れた?」
「そんなことはありません。でも、何故、お店で働かないのですか?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ