側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
「―楊(ヤン)先生」
トスが見かねたように間に割って入った。しかし、医者はトスの方は見向きもせず、淡々と続けた。
「君はお母さんと二人だけで暮らしていた。この世にたった二人だけの母子でいながら、娘の君は、お母さんが心臓病を患っていたことを知らなかった」
「わ、私」
キョンシルの声が震えた。
「確かに、これは心ノ臓の発作を抑える薬だ。多少割高だが、その分、効き目はある。お母さんは、この薬を飲むと、楽になったのかな」
その科白は質問というより、最早、確認に近かった。
「―はい、この薬を飲んで数日くらいの間、静かに養生していれば、嘘のように元気になりました」
トスが見かねたように間に割って入った。しかし、医者はトスの方は見向きもせず、淡々と続けた。
「君はお母さんと二人だけで暮らしていた。この世にたった二人だけの母子でいながら、娘の君は、お母さんが心臓病を患っていたことを知らなかった」
「わ、私」
キョンシルの声が震えた。
「確かに、これは心ノ臓の発作を抑える薬だ。多少割高だが、その分、効き目はある。お母さんは、この薬を飲むと、楽になったのかな」
その科白は質問というより、最早、確認に近かった。
「―はい、この薬を飲んで数日くらいの間、静かに養生していれば、嘘のように元気になりました」