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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか

「もう、良いのよ。トスおじさんは十分に苦しんだ。そろそろ自分を許してあげることが必要だわ」
 そう、十五年という年月は、あまりにも長すぎた。たとえ人ひとりの生命を結果として奪うことになったとしても、あれは避けられない悲劇であり事故だったのだ。
 一人で背負うには重すぎる罪をトスはたった一人で抱え、その気の遠くなるような年月を孤独に生きてきた。親や友人、すべてを棄て故郷に背を向けて過ごしてきたのだ。
 この辺で彼がその良心の呵責から自らを解き放ったとしても、御仏はお許しになるだろう。
「ね、これ以上、苦しまないで」
 苦しむあなたをこれ以上、見ていられないから。あなたが喘いでいるのを見ると、私まで心が痛くなるから。

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