側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
そう叫びたいのを堪え、キョンシルはトスの肩にそっと手をのせた。
「それに、これからは一人で苦しんだり悩んだりしないで。私にもトスおじさんの苦しみを一緒に背負わせて欲しいの」
さんざん考えた末の科白だった。無為の言葉を千言、万言繰り返すよりも、今の自分の気持ち、トスへの想いを言い表している言葉のはずだ。
トスの肩に乗せた彼女の小さな手にトスの分厚い手が重なる。
「そなたはまだ子どもだ」
溜息のように落とされた言葉に、キョンシルは即座に反論した。
「子どもじゃないわ」
長い沈黙があった。ただ海鳴りだけが静かすぎる空間に響いている。トスに呼応するかのように、白い浜木綿の花たちも黙していた。
「それに、これからは一人で苦しんだり悩んだりしないで。私にもトスおじさんの苦しみを一緒に背負わせて欲しいの」
さんざん考えた末の科白だった。無為の言葉を千言、万言繰り返すよりも、今の自分の気持ち、トスへの想いを言い表している言葉のはずだ。
トスの肩に乗せた彼女の小さな手にトスの分厚い手が重なる。
「そなたはまだ子どもだ」
溜息のように落とされた言葉に、キョンシルは即座に反論した。
「子どもじゃないわ」
長い沈黙があった。ただ海鳴りだけが静かすぎる空間に響いている。トスに呼応するかのように、白い浜木綿の花たちも黙していた。