側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか
トスの恋人であったミヨン。二人の想いが通じ合った今、母の存在は、トスとキョンシルそれぞれの心に微妙な翳りを落としている。だが、互いに想いを貫くつもりならば、避けては通れぬ道であった。
いや、乗り越えるべきは、ミヨンの存在というより、かつて〝父〟と〝娘〟であったという関係、二人の意識の持ちようだろう。
「俺は今、ここでソンニョに誓おうと思う。ソンニョの分までキョンシルを生涯かけて愛し抜く。だから、天からキョンシルを見守ってやってくれと」
トスの言葉を待っていたかのように、突如として雲の隙間から光の帯が垂らされ、海が小さな輝きを取り戻した。
いや、乗り越えるべきは、ミヨンの存在というより、かつて〝父〟と〝娘〟であったという関係、二人の意識の持ちようだろう。
「俺は今、ここでソンニョに誓おうと思う。ソンニョの分までキョンシルを生涯かけて愛し抜く。だから、天からキョンシルを見守ってやってくれと」
トスの言葉を待っていたかのように、突如として雲の隙間から光の帯が垂らされ、海が小さな輝きを取り戻した。