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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に

 朴(パク)道(ト)洙(ス)はかつてキョンシルの母美瑛(ミヨン)の許婚者であったが、ミヨンが祝言を目前にして頓死、その後、キョンシルとトスは互いに想い合うようになった。キョンシルがトスに恋するようになったのは、まだ母が生きている頃からで、その胸の奥底に燃える想いをひたすら押し隠してきたのだ。
 母を心で裏切っているという罪悪感が長らくキョンシルを苦しめていた。今やトスとキョンシルは漸く互いに愛し合っていることを確認した。ミヨンの存在は依然として二人の間に見えない影を投げかけてはいるものの、義理の父と娘であったという柵(しがらみ)は、これから先、二人が乗り越えねばならない大きな山でもある。

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