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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第2章 哀しみはある日、突然に

 どうやらトスが怒っているのは医者が母を救えなかったことではなく、キョンシルを責めたことにあるらしかった。
「でも、あの人の言ったことは全部本当だわ。私がお母さんをみすみす見殺しにしたようなものだもの」
 そう、もっと早くに母の病に気づいていれば。大きな発作が来る前に、医者にちゃんと診せていれば、母は死なずに済んだに違いない。
 キョンシルは自分が許せなかった。

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