側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
トスが怒鳴った。
「馬鹿を言うな。人の生き死には、誰かがどうあがいたところで、変えられるものではない。ましてやソンニョは、そなたに余計な心配をかけたくないからこそ、病のことを告げなかったのだ。何もそなたが悪いわけではない。あのようなへボ医者の言うことなんぞ気にするな」
トスの言葉に、キョンシルは眼を伏せた。そうでもしなければ、涙が止まらなかったからだ。
花嫁衣装を纏ったまま、母は死んでしまった。この花嫁衣装をいつかキョンシルが嫁ぐ日に着て欲しいと言い残して―。
「馬鹿を言うな。人の生き死には、誰かがどうあがいたところで、変えられるものではない。ましてやソンニョは、そなたに余計な心配をかけたくないからこそ、病のことを告げなかったのだ。何もそなたが悪いわけではない。あのようなへボ医者の言うことなんぞ気にするな」
トスの言葉に、キョンシルは眼を伏せた。そうでもしなければ、涙が止まらなかったからだ。
花嫁衣装を纏ったまま、母は死んでしまった。この花嫁衣装をいつかキョンシルが嫁ぐ日に着て欲しいと言い残して―。