
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に
「爺や―さんが、ねえ」
やはり、相当の家の息子らしい。金の使い方、買い物の仕方一つ知らないのは、よほどの世間知らずか、鏡売りの言うように阿呆だろうが、この若者を見る限り、狂人には見えない。
「あなたのような世間知らずが実在するなんて、信じられない。よほど屋敷の奥深くで大切に育てられた坊ちゃんなのね」
呆れるよりは感心してしまう。
キョンシルから少し離れて、若者は歩いている。その中(うち)に、キョンシルがトスと暮らす町外れまで来た。
都に戻ってきてから既に半月、キョンシルとトスは以前、ミヨンとキョンシルが暮らしていた借家に落ち着いた。トスは元どおり、商家の用心棒として昼間はそちらに詰め、夕方に帰ってくる。
やはり、相当の家の息子らしい。金の使い方、買い物の仕方一つ知らないのは、よほどの世間知らずか、鏡売りの言うように阿呆だろうが、この若者を見る限り、狂人には見えない。
「あなたのような世間知らずが実在するなんて、信じられない。よほど屋敷の奥深くで大切に育てられた坊ちゃんなのね」
呆れるよりは感心してしまう。
キョンシルから少し離れて、若者は歩いている。その中(うち)に、キョンシルがトスと暮らす町外れまで来た。
都に戻ってきてから既に半月、キョンシルとトスは以前、ミヨンとキョンシルが暮らしていた借家に落ち着いた。トスは元どおり、商家の用心棒として昼間はそちらに詰め、夕方に帰ってくる。
