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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に

 この青年のことをろくに知らない人ならば、それこそ本当に馬鹿かと勘違いしてしまうだろう。それほどに世間知らずな男だ。
 心配になってソンの方を見やると、ソンは静かな瞳でトスを見返しているだけだ。微笑んでこそいないが、特に怒っているようにも見えなかった。
 トスはさっさと部屋の隅に布団を敷くと、そのまま横になった。

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