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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に

 しかしながら、出てゆくといったソンの言葉は実現しなかった。というより、できなくなったのだ。翌朝から、ソンは高熱を発して寝込んでしまった。やはり、身体の方々に打撲を負ったこと、精神的な打撃、様々な要因がソンに負担を与えたのだろう。
 高熱で喘ぐソンをまさか追い出すわけにもゆかなくて、ソンは結局、そのまま家にとどまることになる。キョンシルは熱を出して荒い息を吐くソンの傍らに付き添い、手ぬぐいで額を冷やしたり、汗を拭いたりとこまめに世話を焼く。昼過ぎまではずっと熱が高かったのだが、夕刻近くになって、漸く熱も少し下がり、容態は落ち着いた。

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