側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第13章 第三話 【むせび泣く月】 出逢いはある日、突然に
トスは桜の樹下に座り、愛用の長剣の手入れをしていた。朝陽が刃を鈍く煌めかせている。まるでトスの周囲だけを見えない壁が覆い尽くしているようで、キョンシルは違和感を憶えずにはいられなかった。
やはり、いつものトスとは全然、雰囲気が違う。脚をいざ踏み出そうとしても、分厚い氷の壁に遮られ、はじき飛ばされてしまいそうな気がする。だが、ここで勇気を出せず、回れ右をしていたのでは、トスとは永遠に解り合えないままになってしまう。
それは、あまりに哀しいことだ。やっと互いの想いを確認し合ったのに、こんなつまらない誤解ですべてが台無しになってしまうだなんて。
やはり、いつものトスとは全然、雰囲気が違う。脚をいざ踏み出そうとしても、分厚い氷の壁に遮られ、はじき飛ばされてしまいそうな気がする。だが、ここで勇気を出せず、回れ右をしていたのでは、トスとは永遠に解り合えないままになってしまう。
それは、あまりに哀しいことだ。やっと互いの想いを確認し合ったのに、こんなつまらない誤解ですべてが台無しになってしまうだなんて。