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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実

 絹店に行けば、トスに逢えるかと思ったのだが、生憎とトスの姿は見かけられなかった。家では何となく話しにくいし、場所が違えば、落ち着いて誤解を解くこともできるのではないかと期待していたのにと、大いに落胆した。
 沈んだ心を抱えて帰り道を辿っている最中、ふっと代書屋に寄ってみようと思い立ったのだ。キョンシルが店に脚を踏み入れた時、ソンもまた丁度、出先から戻ってきたばかりのようであった。
 主人のホンジュはいつになく機嫌が良い。
「キョンシル、お前さんのお陰で、うちの店も大いに助かってるよ」
 何ごとかと思っていたら、ソンの働きがめざましいのだという。

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