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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実

「ああ、ソン。お前さんの欲しがっていた本、あれを持って帰ると良い」
 ホンジュが思い出したように言うと、ソンの眼が輝いた。
「本当ですか?」
「ああ、どうせ一部が汚れて、売り物にはならない代物だ。よく頑張ってくれる礼と言っちゃ何だが、譲るよ」
「ありがとうございます、ご主人(オルシン)!」
 ソンは弾んだ声で言った。
「今日のところは、もう帰って良いよ。若い者同士、仲よく帰りな」
「おじさん、そんな言い方は止めてよ。私たちは別に何も」

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