側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第3章 旅立ち
「そうよ、これは私がどこかのお屋敷から盗んできたのよ。トスさん、私をいっそのこと、役所に突き出してちょうだい。そうすれば、こんなに苦しまずに済む。盗っ人の罪で処刑されてしまえば、私もお母さんのところに行けるもの」
次の瞬間、パアンと乾いた音が空に響いた。
キョンシルはトスに打たれた頬を押さえ、茫然とトスを見た。
「馬鹿ッ」
トスが大声で怒鳴った。整った顔には、これまで見たこともないほど厳しい表情が浮かんでいた。
「良い加減にしないか! そなたより幼い子どもでも、今のそなたよりはよほど聞きわけが良かろう。キョンシル、間違っても、死ねば、すべてが終わるなどと考えてはならない。そなたの母が―ソンニョが何故、そなたに病のことを告げなかったのかをよく考えてみろ。
次の瞬間、パアンと乾いた音が空に響いた。
キョンシルはトスに打たれた頬を押さえ、茫然とトスを見た。
「馬鹿ッ」
トスが大声で怒鳴った。整った顔には、これまで見たこともないほど厳しい表情が浮かんでいた。
「良い加減にしないか! そなたより幼い子どもでも、今のそなたよりはよほど聞きわけが良かろう。キョンシル、間違っても、死ねば、すべてが終わるなどと考えてはならない。そなたの母が―ソンニョが何故、そなたに病のことを告げなかったのかをよく考えてみろ。