テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実

「ありもしないこと? そんなはずはないよ。あれは、ちゃんと現実にあった話を元にして書かれた話だ。もっとも、芝居では国王は毒殺されてしまったけど、現実には暗殺は失敗、未遂に終わった。王は今でもぴんぴんしてる。義理の母親である大妃(テービ)は悔しくて、夜も眠れないだろうに」
 突き放すような言い方に、キョンシルは内心、不審を感じた。
「ソン?」
「あの話は王に側近く仕える内官(宦官)がわざと王宮外に流したんだよ。宮殿の奥深くで大妃がこんなに空恐ろしいことを企んでいると、国中にひろまれば、大妃も迂闊なことはできない、王に容易く手出しはできまいと忠臣が考え出した苦肉の策だったんだ」
 ソンは低い声で言った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ