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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実

「もう大丈夫だろう。ここまで来れば、上手く追っ手を巻けたはずだ」
「もしかして、ソンが逃げたのは、お屋敷からの迎えが来たからなの?」
 その問いに、ソンからの応えはなかった。無言が何よりの肯定の証のような気がして、キョンシルはまじまじとソンを見つめた。この場合、どう言えば良いのだろう。やはり、道理を優先して、お屋敷に帰るべきだと勧めるのが理想的ではあるのだろうが、何度も毒殺されかかったというソンの話を聞くにつけ、そのような怖ろしい場所にソンを帰すべきなのかどうかと迷いも生じた。

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