側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第14章 第三話 【むせび泣く月】 意外な事実
何か途方もなく疲れた心地だ。家に帰って、とにかく休みたかった。キョンシルがこれで何度目になるか判らない溜息をついたときである。
唐突に背後から羽交い締めにされ、キョンシルは身を竦ませた。
―誰ッ?
渾身の力でもがいたけれど、どうやら不運にも相手は屈強な男らしい。キョンシルのささやかな抵抗はいともあっさりと封じ込められ、瞬く間に口に布を押し込まれ、両手は後ろ手で縛られた。頭から袋をすっぽりと被せられ、担ぎ上げられかと思うと、どこかに運ばれてゆく。
―いやっ。トスおじさん、助けて。私はここにいるから、助けてよ。
心の中でトスに助けを求めても、聞こえるはずはない。袋の中でもがいている中に、キョンシルはいつしか意識を手放してしまったのだった。
唐突に背後から羽交い締めにされ、キョンシルは身を竦ませた。
―誰ッ?
渾身の力でもがいたけれど、どうやら不運にも相手は屈強な男らしい。キョンシルのささやかな抵抗はいともあっさりと封じ込められ、瞬く間に口に布を押し込まれ、両手は後ろ手で縛られた。頭から袋をすっぽりと被せられ、担ぎ上げられかと思うと、どこかに運ばれてゆく。
―いやっ。トスおじさん、助けて。私はここにいるから、助けてよ。
心の中でトスに助けを求めても、聞こえるはずはない。袋の中でもがいている中に、キョンシルはいつしか意識を手放してしまったのだった。