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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 途中からは殿舎の一つらしい建物を出て、石畳の敷かれた広い庭園のような場所を歩いた。やがて、どれくらい歩いたのか判らないというほど歩いた頃、漸く一行は、とある殿舎の前で止まった。
 先刻、キョンシルが出てきたばかりの建物も大きかったけれど、それとは比べようもなく巨大で壮麗な建物である。
 階(きざはし)を昇り、建物の周囲に沿ってぐるりと巡る渡廊を歩いた。渡廊ははすぐに建物内に続く廊下となり、今度はそこを進んでゆく。ほどなく、とある室の前で一行は止まった。
 両開きの扉も立派な、ひときわ大きな室である。扉の前にはやはり数人の女官が軽く頭を垂れて控え、その中には二人の男性の姿も混じっている。

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