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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「そうね。ごめんなさい。私も混乱してしまって」
 キョンシルは滲んだ涙を手で拭い、ソンに笑いかけた。ソンが太陽を見るかのように、眩しげに眼を細めた。
「キョンシルらしいね。自分は全然悪くない、面倒に巻き込まれただけなのに、私に微笑みかけ謝っている」
 ふいに抱き寄せられ、キョンシルは慌てた。
「ソ、ソン?」
「私は狡い男だ、キョンシル。この状況をできれば利用したいと心のどこかで考えている」
 ソンがキョンシルの艶やかな黒髪に顎を埋めた。

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