テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「ホン内官の読みは間違ってはいない。私はそなたを好きだ、キョンシル。そして、そなたという娘を知れば知るほど、心奪われ惹かれずにはいられない」
「離して、ソン」
 キョンシルが両手を突っ張って、ソンの身体を押しやろうとする。しかし、やはり、体格差は歴然としており、キョンシルの力ではビクともしない。
「頼む、もう少しだけ、そのままでいさせて」
 トスに目撃され誤解されてしまったあの日も、ソンはキョンシルを抱きしめ言った。
―頼むから、もう少し、このままでいて。
 あの時、自分は間違っていたのかもしれない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ