側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
何故なら、母には既に将来を誓い合った男がいたからだ。それがキョンシルの父至誠(チソン)であった。
「私がずっとこの先も元気でいたら、お前に真実を告げる気はなかった。でも、こうなったのも、やっぱり仏さまのお導きじゃないかと思ってね。お前は名門崔氏の血を引く、たった一人の娘だもの。きっとチソンも、お前のお父さんも、お前に本来お前がいるべき場所に帰って欲しいと願っているんではないかと思ったんだ」
チソンは惜しむらくはキョンシルがまだ乳飲み子の頃に亡くなった。ゆえに、キョンシルに父の記憶は一切残ってはいない。その分、母は父の分まで惜しみなく愛情を注いで育ててくれた。
「私がずっとこの先も元気でいたら、お前に真実を告げる気はなかった。でも、こうなったのも、やっぱり仏さまのお導きじゃないかと思ってね。お前は名門崔氏の血を引く、たった一人の娘だもの。きっとチソンも、お前のお父さんも、お前に本来お前がいるべき場所に帰って欲しいと願っているんではないかと思ったんだ」
チソンは惜しむらくはキョンシルがまだ乳飲み子の頃に亡くなった。ゆえに、キョンシルに父の記憶は一切残ってはいない。その分、母は父の分まで惜しみなく愛情を注いで育ててくれた。