テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「ソンはもう寝(やす)んだら? 私はよく知らないけれど、国王さまのお仕事はきっとたくさんあって、大変なんでしょう?」
 ソンは良いように解釈したらしく、微笑む。
「そなたの想われ人は幸せだ。私もそんな風に、夜毎、甘い科白を囁かれてみたいものだな」
 ソンは戯れ言めいて言い、部屋の奥に敷かれている夜具に向かって歩いてゆく。豪奢な絹の布団はキョンシルが見たこともないほど巨大で、何と黄金色の布で仕立ててある。そのあまりの煌々しさに、キョンシルは圧倒された。
 王さまがお使いになる布団は、やはり庶民のものとは違うのね、などと、ぼんやりと眺めていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ