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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 ソンの声音には気遣う響きがある。いかにも思慮深いソンらしい。キョンシルは少し心が温かくなった。
「ここで寝ますから、私のことは心配しないで」
 今度は返事はなかった。そのまま寝たのだろうと思い、キョンシルも眼を瞑った。が、少しく後、キョンシルの身体はふわりと持ち上げられていた。
「いつまで、ここに座っているつもりだ?」
「ソン!」
 キョンシルは眼を見開き、抗議の声を上げる。
「何をするの?」
 ソンはキョンシルの身体を軽々と抱き上げ、部屋を横切っていった。

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