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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 ふと我に返ると、ソンがじいっとこちらを見つめていた。至近距離どころか、どちらかがわずかに身じろぎしただけで、身体の一部が触れ合ってしまいそうなほどの近さだ。
 キョンシルは頬が燃えるように熱くなるのを感じ、慌てて身体の向きを変えた。このままずっとソンの顔を見ていたら、ますますあらぬ妄想に浸ってしまいそうな自分が怖い。それに、恐らくは真っ赤になっているであろう顔を見られるのも恥ずかしい。
「やはり、私の側にいるのは、ほんの少しでも嫌か?」
 その声が堪らなく切なげで。
 キョンシルはガバと身を起こすと、振り向いた。

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