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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 その翌朝になった。キョンシルはそのときになって初めて、自分が正式な〝妃〟として国王の後宮に迎えられのだと知ることになる。キョンシルに与えられた妃としての位階は〝従四位淑媛〟である。妃の位としては最下級のものではあるが、町中でたまたま王に見初められたにすぎない娘がいきなり正式な妃としての位階を賜り、入宮するのは前代未聞、まさに破格の待遇といえる。
 通常は女官が王の眼に止まった場合は何度か閨に召されてから後、正規な手順を踏んで儀式を行い、正式な妃の位階を賜るのだ。中には既に正室(王妃)がいる時、正室に準ずる高位の妃を娶る際には、王妃を選定する例にのっとり、国中の十八歳未満の子女禁婚令を出し、これはという才色兼備の娘たちを集めて側室を選ぶこともある。

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