テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 それほどまでに国王の妃という地位は、望んで容易く得られるものではないということだ。だが、キョンシルは突如として王に見出され、その多くの女たちが夢見る妃という地位を射止めた。そんな彼女が後宮の女官たちの羨望の的にならないはずがない。
 とはいえ、キョンシルが側室としての位階を賜ったのは、すべてあの老練なホン内官の目論見なのだ。国王第一の忠臣が王の意中の娘を後宮に入れるに当たり、余計な波風が立たない根回しの一つとして企んだことである。正式な妃ともなれば、たとえ誰がキョンシルを追い出そうとしたからとて、迂闊に手が出せるものではない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ