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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

「あなたさまは最早、国王殿下のお妃となられたのです。国王殿下より、淑媛さまは、この殿舎一つを賜り、本日よりは、淑媛さまが殿舎の主。私を初め、ここに控える者どもは皆、あなたさまにお仕えする者にて、上位の者がいたずらに下の者に丁寧な物言いをしては、示しがつきませぬ。それは引いては、この殿舎の規律の乱れの因ともなりますゆえ、十分にお気をつけあそばされますよう」
「は、はいッ」
 謹厳を体現したようなこのベテラン尚宮を見ていると、自然と背筋がピンと伸びてくるようだ。不自然なほどの大声で応えたキョンシルだったが、臨尚宮を初め、背後に控える女官たちの冷たい視線をひしひしと感じ、黙り込む。

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