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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 中にはあからさまに侮蔑の視線を投げてよこす者もいれば、隣の女官とクスクス笑いながら肘でつつき合っている者もいる。いずれもが〝ぽっと出の成り上がり〟とキョンシルを侮っているのが判りすぎるくらい判りすぎる反応だ。
 女官たちは皆、裕福ではなくとも、賤しくはない身分の出ではある。下位の者でも厳しい選考基準を経て採用されている。彼女たちにしてみれば、どこの馬の骨とも知れず、ただ色香で若い国王を誑かしただけの小娘など、軽蔑の対象でしかない。
 その朝は、いつも食欲旺盛なキョンシルも流石に何も受け付けなかった。次々と運ばれてきた卓には見たことのないご馳走が並んでいたけれど、箸を持つ気にもなれない。

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