
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第15章 王宮という名の伏魔殿
キョンシルの耳奥で、ソンの呟きがこだまする。
―たとえ義理とはいえ、母親に何度も殺されかけるなんて、これ以上は耐えられない。
だが、今、ここでソンの話をするわけにもゆかない。キョンシルは頷き、ぺこりと頭を下げた。
「私は本当に何も判らないので、ご挨拶など、どうしたら良いのか色々と教えて下さいね」
臨尚宮は呆気に取られたように眼を丸くし、それから、微笑んだ。
「淑媛さまは、とても素直なご気性でいらっしゃるようですね。今まで殿下のお側に淑媛さまのようなお方はいらっしゃらなかったのです。高貴なお生まれの両班の姫君方は皆、ご自分の感情を表に出さぬようにと躾けられます。それゆえ、殿下が余計に淑媛さまを愛おしく思し召すのでしょう」
―たとえ義理とはいえ、母親に何度も殺されかけるなんて、これ以上は耐えられない。
だが、今、ここでソンの話をするわけにもゆかない。キョンシルは頷き、ぺこりと頭を下げた。
「私は本当に何も判らないので、ご挨拶など、どうしたら良いのか色々と教えて下さいね」
臨尚宮は呆気に取られたように眼を丸くし、それから、微笑んだ。
「淑媛さまは、とても素直なご気性でいらっしゃるようですね。今まで殿下のお側に淑媛さまのようなお方はいらっしゃらなかったのです。高貴なお生まれの両班の姫君方は皆、ご自分の感情を表に出さぬようにと躾けられます。それゆえ、殿下が余計に淑媛さまを愛おしく思し召すのでしょう」
