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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 聞きようによっては、キョンシルの身分が低いということを指摘しているようでもあるが、多分、この母親と同じ歳ほどの尚宮は、彼女なりにキョンシルを褒めようとしているのだろう。
 ほどなく、キョンシルは臨尚宮を従えて大妃殿に赴いた。大妃殿は文字どおり、大妃、国王の母が住まう殿舎である。国王の暮らす大殿(テージヨン)には及ばないものの、大妃殿もかなりの規模の壮麗な御殿であった。
 到着した一行はすぐに大妃の居室に通された。キョンシルの背後に臨尚宮、更に後ろに若い女官二人が控えている。女官たちはそれぞれ籠に美しく盛った茘枝(ライチ)を恭しく捧げ持っていた。

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