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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 これは身分の高い女性は豪奢なチマチョゴリを着用するため、一人ではなかなか身動きが取れないからである。後にも先にも、市井で生まれ育ったキョンシルがこんな風に他人に支えられて拝礼をするのは初めての経験だ。
 金(キム)大妃は前領(ヨン)議(イ)政(ジヨン)の娘であり、先王の正室だ。十五歳で二歳年下の王に嫁ぎ、世子(セジヤ)嬪(ビン)となり、十年後に良人の王が即位するとともに二十五歳で王妃に冊(チェツ)封(ポン)された。
 前王には子宝には縁のない質だったのか、三人の王女と二人の王子を得たが、その中で無事、成人に至ったのは現国王俊宗のみである。しかし、これらの王子王女はすべて大妃の所生ではなく、側室からの出生だ。

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