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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第15章 王宮という名の伏魔殿

 あまりといえばあまりの科白に、キョンシルだけでなく背後の臨尚宮までもが蒼褪める。
「大妃さま、一体、何がお気に召さなかったのでございましょう?」
 臨尚宮がすかさず言上した。
 大妃は形良く整えられた細い眉をこれでもかというほどつり上げた。
「無礼な! たかだか新入りの側室に仕える尚宮ごときがこの私に直接、物を言うとは。主が主なら、お付きまでもが常識知らずと見える」
 大妃は毒々しく染めた両手の爪をおもむろに眺めてから、キョンシルを睨(ね)めつけた。

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