側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
どうも、その日、左議政が娘である温嬪がいまだ懐妊せぬことをソンに皮肉ったらしい。キョンシルが入宮してからというもの、今や王の寵愛は新入りのに淑媛一人に集まり、他の妃たちは見向きもされない状態だ。
妃の父である左議政が焦るのも無理はない。話題が話題だけに、何とも言いようがなく、キョンシルは黙っていた。と、ソンが急に彼女の手を取った。
―もし、そなたが私の子を産んでくれたら、世子の母となってくれれば、私にとっては言うことはないのだがな。
ソンはキョンシルの手を膝の上にのせ、しばらく撫でていた。豪奢な褥に二人並んでの親密なひとときである。
妃の父である左議政が焦るのも無理はない。話題が話題だけに、何とも言いようがなく、キョンシルは黙っていた。と、ソンが急に彼女の手を取った。
―もし、そなたが私の子を産んでくれたら、世子の母となってくれれば、私にとっては言うことはないのだがな。
ソンはキョンシルの手を膝の上にのせ、しばらく撫でていた。豪奢な褥に二人並んでの親密なひとときである。