テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

 キョンシルは途方に暮れ、自分の手を撫でるソンの手をもう一方の空いた手で軽く押さえた。
―ソン。悪ふざけが過ぎるわ。
―私が冗談や悪ふざけでこんなことを言うと思う?
 と、真顔で返され、かえって追いつめられてしまった。
―もう、知らない。ソンは意地悪ね。私をそうやって困らせて。
 キョンシルはソンの手から自分の手を引き抜き、さっさと一人で布団に潜り込んだが、もう顔は見られないほど紅くなっていたはずだ。ほどなくして、小さな溜息と共にソンも傍らに横たわったが―。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ