側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
そんな状況で、宮殿を出たいとは言えない。ましてや、昼間同様、まるで母親にその日の出来事を報告するように生き生きと話すソンに何で別離を切り出せよう?
そんなある夜。キョンシルが入宮してはや半月が流れていた。こんなにも長い間、ここにいるつもりはなかった。トスはさぞ心配しているに違いない。せめて安否なりとも伝えたかったけれど、そのすべはなかった。
民の暮らす市井と王の住まう宮殿は、まさに幾重もの雲に隔てられた別世界なのだ。
「そなたに見せたいものがあるんだ」
ソンに言われ、いやと言えるはずもない。キョンシルはソンに誘われるままに宮殿の広大な庭へと脚を運んだ。
「二人きりで夜の庭を歩くなんて、何だかわくわくするな」
そんなある夜。キョンシルが入宮してはや半月が流れていた。こんなにも長い間、ここにいるつもりはなかった。トスはさぞ心配しているに違いない。せめて安否なりとも伝えたかったけれど、そのすべはなかった。
民の暮らす市井と王の住まう宮殿は、まさに幾重もの雲に隔てられた別世界なのだ。
「そなたに見せたいものがあるんだ」
ソンに言われ、いやと言えるはずもない。キョンシルはソンに誘われるままに宮殿の広大な庭へと脚を運んだ。
「二人きりで夜の庭を歩くなんて、何だかわくわくするな」