側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
油断のない鋭い眼光は、王に害なす者はたとい何人たりとも容赦はしない―、あたかもそう告げているようでもある。あの老いた内官のせいで、キョンシルは今、ここにいると思えば、ソンの唯一無二の忠臣であるホン内官ではあっても、恨めしい。
今宵は奇しくも満月であった。紫紺の夜空を幾億もの星々が彩り、ふっくらと満ちた月が手を伸ばせば届きそうなほど迫っていた。眼を凝らさずとも、月に微妙な陰影を刻む蒼白い翳まで克明に見極められる。
夜陰に薄紅色の撫子がひっそりと浮かび上がり、何とも静かな秋の宵であった。時折、忘れていたように草むらから秋の虫が啼く。
今宵は奇しくも満月であった。紫紺の夜空を幾億もの星々が彩り、ふっくらと満ちた月が手を伸ばせば届きそうなほど迫っていた。眼を凝らさずとも、月に微妙な陰影を刻む蒼白い翳まで克明に見極められる。
夜陰に薄紅色の撫子がひっそりと浮かび上がり、何とも静かな秋の宵であった。時折、忘れていたように草むらから秋の虫が啼く。