
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
「キョンシルは私のために泣いてくれているのか?」
その言葉が終わらない中に、キョンシルの身体はソンの腕の中にすっぽりと抱き取られていた。
「―キョンシル。そなたを苦しめるのは承知で、もう一度だけ言わせてくれ。私と共に生きてくれないか? ずっとこのまま側にいて、本当の妃になってくれないか」
ソンはそっとキョンシルの身体を離すと、袖から小さな巾着を取り出した。牡丹色の巾着を逆さにすると、カン(ペリ)ラン(ドツ)石(ト)の指輪が落ちてくる。
「これをキョンシルに」
「こんな高価な物を頂くわけにはゆかないわ」
キョンシルは首を振った。
その言葉が終わらない中に、キョンシルの身体はソンの腕の中にすっぽりと抱き取られていた。
「―キョンシル。そなたを苦しめるのは承知で、もう一度だけ言わせてくれ。私と共に生きてくれないか? ずっとこのまま側にいて、本当の妃になってくれないか」
ソンはそっとキョンシルの身体を離すと、袖から小さな巾着を取り出した。牡丹色の巾着を逆さにすると、カン(ペリ)ラン(ドツ)石(ト)の指輪が落ちてくる。
「これをキョンシルに」
「こんな高価な物を頂くわけにはゆかないわ」
キョンシルは首を振った。
