
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥
石榴茶に杏の砂糖煮を添え、小卓にのせて出す。そろそろ黄昏時が近くなりつつある。蜜色の太陽が宮殿の壮麗な甍を茜色に染め、輝かせる様は壮観だ。
ソンがこの時間に訪れるのは初めてだ。まだ寛いだ格好ではなく、紅い龍袍を纏っている。龍袍には飛翔する龍が大胆に金糸銀糸で縫い取られている、王だけに許されたものである。
こうして見ても、確かに若く端麗な面立ちの貴公子然とした佇まいは、市井の十八歳の若者とは明らかに違っていた。幼い頃から王たるべく生まれ、王となるために生きてきた歳月は彼を実年齢以上に老成させたのだろうか。
ソンがこの時間に訪れるのは初めてだ。まだ寛いだ格好ではなく、紅い龍袍を纏っている。龍袍には飛翔する龍が大胆に金糸銀糸で縫い取られている、王だけに許されたものである。
こうして見ても、確かに若く端麗な面立ちの貴公子然とした佇まいは、市井の十八歳の若者とは明らかに違っていた。幼い頃から王たるべく生まれ、王となるために生きてきた歳月は彼を実年齢以上に老成させたのだろうか。
