テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

「じゃあ、あなたは私にどうしろと言うの?」
 刹那、ソンがキョンシルに飛びかかった。
「これが応えだ。私の側にいろ。私が老いて、この世での最後の日を迎えるまで、ずっと私の側にいろ」
「―ソン!!」
 勢いで押し倒されたキョンシルは眼を見開いた。
「そなたの申すように、私はこの国の王だ。そなたはこの国の民であれば、王たる私が望めば、その身を捧げねばならぬ」
 熱に浮かされた科白、瞳の奥底で燃える焔。
 このままでは、取り返しのつかないことになってしまう。
 ソンがキョンシルの唇を塞いだ。まるで噛みつくような一瞬の口づけは、懲らしめを与えるかのようでもある。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ