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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第16章 第三話 【むせび泣く月】 飛翔する鳥

「そなたが私をあくまでも拒み通すのは、あの男のせいなのか? そなたと共に暮らしているトスという男が原因なのだな」
 ならば、あのような男、私が捕らえて首を斬ってやる。
 ソンのものとは思えないような惛い声が落ちた。
「今、この場でそなたを抱いて私のものにする。私のものになれば、そなたもあやつへの想いを棄て大人し私の意に従うであろう」
 上衣の前紐がソンの手によって解かれた。キョンシルはその隙を逃さなかった。ソンがわずかに密着させた身体を離し上体を起こしたのを見計らったのだ。

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