
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第17章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】・戻らぬ男
「いや、先刻、そなたも申したように、妓生だとて心はある。その心を無視して身体だけを自由にしようとするのは、即ち、そなたの心を踏みにじるに等しい行為だ」
女が笑った。闇の中で白い花がふわりと綻ぶような笑みだ。儚いけれど、力強さを感じさせる心に残る笑顔である。
―やはり、似ている。
顔かたちの問題ではない。心のあり方が、魂の奥深い部分にこの女は彼が愛して止まぬ少女と同じものを持っている。吹く風にも折れそうなほど脆いのに、実はけして折れない、しなやかな強さを持つキョンシルに。
女が笑った。闇の中で白い花がふわりと綻ぶような笑みだ。儚いけれど、力強さを感じさせる心に残る笑顔である。
―やはり、似ている。
顔かたちの問題ではない。心のあり方が、魂の奥深い部分にこの女は彼が愛して止まぬ少女と同じものを持っている。吹く風にも折れそうなほど脆いのに、実はけして折れない、しなやかな強さを持つキョンシルに。
